左のような現象を「爆裂」といいます。
住宅の「基礎コンクリート」はコンクリートだけではなく、コンクリートの内部に鉄筋が網目状に組まれています。
鉄筋が「水・二酸化炭素・亜硫酸ガス」によって腐食進行し、体積膨張によりコンクリート壁を破壊することによって、「爆裂」が発生します。
←サビた鉄筋が目視できます。
いきなり「爆裂」が発生するわけではありません。
❝空気中の二酸化炭素や亜硫酸ガスが(気体もしくは炭酸イオンなどを介し)コンクリート中に浸透し、コンクリート中にある水酸化カルシウムと科学反応し、炭酸カルシウムと水となります。
この「水酸化カルシウム」→「炭酸カルシウム」により高アルカリ性が失われる(中性化する)ことによって、コンクリート内部の鋼材(鉄筋)の腐食が生じるのです。
その結果、以下の経過をたどり、さらに鉄筋の腐食が加速されます。
鋼材の腐食→体積膨張→コンクリート内部にひび割れ発生→コンクリート表面にひび割れ到達→ひび割れから「水、二酸化炭素、亜硫酸ガス」がコンクリート内部に浸入→さらなる鉄筋の腐食
その結果、更に以下の経路をたどります。
コンクリートの「かぶりの剥離」→鉄筋腐食による「断面欠損」→「剛性低下」→「部分耐力の大幅低下」→「崩壊」❞
以上『よくわかるコンクリート構造物のメンテナンス』(溝渕利明:日刊工業社、p87、88)からの引用です。
❝アルカリ骨材反応とは、コンクリート中のアルカリ分と、骨材中のアルカリ反応性鉱物との反応のことです。反応によってアルカリシリカゲルという吸水性の物質が生じますが、この物質には吸水すると膨張する性質があり、膨張性によってコンクリートを内部から破壊します。内部に鉄筋が埋設されていないコンクリート(無筋コンクリート)や拘束の小さいコンクリートには、方向性のない亀甲状のひび割れが生じる一方、太い鉄筋で拘束されているコンクリートの場合は、拘束方向と直角なひび割れは生じにくく、鉄筋と並行なひび割れが亀甲状のひび割れと併せて生じる傾向があります(図5-1-6)。なお、ひび割れからは、白色のゲル状物質がにじみ出てくることもあります。❞・・・・(中略)・・・・・
❝一方、アルカリシリカゲルが生成しても、吸水しなければ膨張はしないため、入念な施工により表層部を中心に水の浸入しにくい緻密な硬化組織にしたり、表面を被覆すれば、基本的にコンクリートに悪影響は及びません。*49
*49:アル骨の 膨張圧力 強力も 水の浸入 防げばOK❞
上記文章の引用元:『図解入門 よくわかる最新コンクリートの基本と仕組み』(岩瀬己、岩瀬文夫著:秀和システム P178)
《基礎コンクリートへの「水の浸透」を防止する工事》
本件の場合、「雨水」の「基礎(鉄筋)コンクリート」への浸透を止めるためには、以下3つの「亀裂やひび」からの雨水を「水切り」で遮断することです。
(1)タイル目地のシーリングの亀裂・ヒビ」から浸入した雨水がALC板表面を伝わり基礎へ浸透する雨水
(2)ALC板間のシーリングの亀裂・ヒビ」から浸入した雨水がALC板裏面を伝わり
基礎へ浸透する雨水
(3)ALC板自体に発生した亀裂・ヒビから浸入した雨水がALC板裏面を伝わり基礎へ浸透する雨水
(以上から「雨漏りを止める」方策を「一次防水」というそうです。既述しました。)
したがいまして、「一次防水」で防げずALCの表面及び裏面を伝わって下へ流れる「雨水」を「水切り」を設置することにより、「雨水」が基礎コンクリートへ浸透するのを遮断するのです。
⇒【二次防水】対策の実施!!
《基礎コンクリート中の「鋼材のかぶり厚」を確保する工事》
上に述べたように、当初の対策で「65mm」基礎コンクリートを掘り下げているので必要とする「鋼材のかぶり厚」が不足している可能性があります。
【特記】上記の『「柱脚」及び「基礎コンクリート」の工事プロセスの写真画像』、現場の施工画像【プロセス1】からも推知できます。
【現場・現実・現物】による確認!
※【特記】
状態によっては、上に述べました改修工事【3】(「基礎コンクリート」及び「鉄筋」への改修工事)が必要となりますが、ここでは割愛します。(緊急に改修されるべきは、上記の【1】【2】と思考されます。)