【付言事項】の記載例:

法的な効力をともないませんが、この【付言事項】必ず付けるようにしましょう。形式的な冷たい感じの『遺言書』が血の通った温かいものになり、「円満相続」に大きな力となります。感動さえ呼び起こす場合があります。当サイトでは必ず作成し、『遺言書』に付け加える(『遺言書』の中で語る形もあります)ことを強くお奨め致します。

 

【財産の承継だけではなく、あなたの意思(お人柄)を未来永劫語り継ぐことができます。その意味でも大きな効果が期待できます。】

 

以下に著名な書物から、著者の解釈を含め紹介(引用)しますので、参考になさってください。

 

「遺言の動機、心情、配分を決めた理由、相続人らに対する希望などを記載することができます。法律上の効果を伴いませんが、相続人らに遺言の趣旨を理解してもらい、遺言内容の円滑な実現を図る上で有益なことがある。逆に、本文の内容と抵触したり、その解釈を混乱させるおそれがある記述は避けなければならない。」(下記の書籍【Ⅱ】P11より引用)

 

「付言事項」は法的拘束力を持つものではありませんが、葬儀の方法、遺言に至った心情、家族や親族に対する感謝の念、子どもたちに対する遺訓などを記載します。有効に使えば大きな心理効果があるとされます。特に遺留分を侵害する可能性がある『遺言』の場合には、その『遺言』の趣旨理由と共に「遺留分減殺請求権」を権利行使しないよう、要請することがよく行われます。付言事項を活用するというのは、遺留分対策のひとつになります。 (『税理士のための相続実務と民法』(弁護士 木村 浩之著:清文社)P77「付言事項」より引用 )

 

以下3つの書籍より以下のとおり<例1~例7>を引用致します。

 

【Ⅰ】『妻のための遺言 安心に備えるため、何を、いつ、どうする?』

<例1~例5>     (日本公証人連合会著:清水勇男執筆:講談社)

 【-はじめに-より抜粋】

「自分のためによく尽くしてくれた人たちのために残す遺言、その残し方、それがこのタイトルに込められている意味なのです。つまり本書の「妻」とは、そうした多くの人々の代名詞として使っているわけです。・・・遺言というのは愛と感謝のメッセージが中心なのであり、真心を形にして残すものなのです。けっして縁起が悪いとか、できれば避けて通りたいとか、そういう低いレベル、マイナスイメージで捉えてはいけないものなのです。」 

 

【Ⅱ】『新版 証書の作成と文例 遺言編<改訂版>』(日本公証人連合会著:橘 茂雄発行:立花 書房)

<例6>

 

【Ⅲ】『みんなが安心 遺言書の正しい書き方・活かし方』(石原 豊昭 著:國部 徹校閲協力:自由国民社)

<例7>

■ここでは「遺言」は省略しています。(一部記載している例もあります<例3>。<付言>としないで遺言自体の中に記載している例もあります<例7>。)

 

 <例1>【妻と3人の子供たちへ】<想いを伝え「遺留分」請求を抑えてもらう>

(最後に)

私は、春子というよき伴侶と3人の素直なよい子供たちに恵まれ、しあわせな人生を送ることができたと心から感謝しています。

春子には、2人で築いた住まいの土地と建物を残すことにしました。気兼ねなく、ゆっくりと老後を過ごしてもらいたいためです。この土地と建物だけで遺産の2分の1をはるかに超えると思いますが、3人の子供たちはお母さんに対して遺留分を請求することのないようにしてください。いずれは3人のものになるのです。

 

夏男と秋男には大学を卒業するまで父親としてできるかぎりの援助はしたつもりですが、冬子には私の会社が倒産したり、その他いろいろな災難があったりして、大学にも行かせてやれなかったばかりか、私の長患いのために介護の苦労までさせてしまい、申し訳なく、心苦しく思っています。冬子に対して夏男や秋男よりも多くの現金を残してやることにしたのは、そういう気持ちからです。みな理解してください。

 

春子、夏男、秋男そして冬子、よい人生を本当にありがとう。

   平成15年8月壱日

東京都〇〇区〇〇町〇〇番地   

                    遺言者       甲野太郎  ㊞

 

<例2>【1人残される息子(未成年)へ】<想いを託す記載例>

 

(付言事項)

私は、太郎が強く生きていくことを願って、自筆で書いたメッセージを別紙として添えておきます。ベッドで書いたもので、読みにくいと思いますが、判読してください。

 

《別紙》

太郎。お前は私の生き甲斐のすべてでした。お母さんはすでに亡く、いずれ私が死ぬと、お前は独りっきりになります。お前のことは、私の弟である誠二おじさんに頼んであります。おじさんもおばさんも心きれいな、やさしい人ですから、2人の言うことをよく聞いて、立派な人間に育っていってください。間違っても人様の迷惑になるようなことだけはしないでください。私は、天国の片隅からお前のことをじっと見守っています。

さようなら太郎。

 

誠二さん良子さん、太郎のこと、どうかよろしくお願いします。

                                                                鈴木 四郎

 

<例3>【子供がいない場合の記載例】<兄弟姉妹へ財産がいくのを防ぐ>

 

                            遺言書

私は、次のとおり遺言します。

一 私は、下記の不動産を含む一切の財産を妻の甲野春子に相続させます。

   本例ではこの不動産の表記は省略します。【実務は記載します。】)

一 この遺言の遺言執行者として、妻春子を指定します。

 

(付言事項)

私は、妻春子が私亡き後、安心して老後を過ごすことができることを願って、この遺言書を作成しました。親族のみなさん、私のこの気持ちを理解され、春子のこと、温かく見守ってくださいますよう、よろしくお願いします。

平成〇〇年〇月〇日

東京〇〇区〇〇町〇丁目〇〇番地      

                             遺言者 甲野太郎 ㊞

   

<例4>【先妻の子と後妻の子へ財産を残す記載例】

 

 (最後に)

私にとっては、先妻の子も後妻の子もない。みんな私のかけがえのない分身だ。財産が現金と預貯金のように分割可能なものだったら、5等分して5人に等分に残してやりたい。しかし、財産は種々雑多で豆腐を切るようなわけにはいかない。それで金額に換算して、ほぼ同額になるように分けたつもりだが、もらう立場からみれば不満も残るかもしれない。しかし、私としては平等にと、精一杯考えてこういう配分になった。愛情深い、浅いの問題ではない。これが最良の配分だと思っている。父親を同じくする兄弟姉妹として、この配分に対してけっして不満をもってはならない。浅ましい遺産争いをして世間の物笑いの種になるようなことだけはしてもらいたくない。このことを最後にお願いしておく。

 

 

 

<例5>【内縁の妻への「遺贈」の記載例】<相続権のない相手を守る>

 

 (付言事項)

長男夏男と長女冬子に特に言い残しておきたいことがあります。 2人がまだ幼いころのことです。私はお母さんに家出をされてしまいました。

私が毎日朝から晩まで仕事に追われていて夫婦の間に会話がなかったことなど、反省すべき点はいろいろあります。お母さんはある人を好きになってしまい、その人が転勤になると幼い2人の子供のお前たちを置いて、出て行ってしまったのです。

 私は、仕事とお前たちの世話で心身とも追い詰められてしまいました。お母さんには戻ってきてくれるように何度も連絡しましたが、なしのつぶて、やがて所在もわからなくなってしまったのです。

 そんな私を見かねてお前達の世話をしてくれるようになったのが春子でした。以来23年の歳月が経過しました。春子は、自分の腹を痛めた子供ができるとどうしても我が子のほうに愛情がいってしまうのが怖い、と言って、自分の子供を作ろうとはせず、愛情のすべてをお前たちに傾けて育て上げたのです。

 お母さんとは離婚しようとは思ったのですが、話し合いをしようにも所在がつかめないので、そのままになってしまいました。夏男と冬子の2人は、春子がおだやかな老後を過ごすことができるよう協力してください。春子には親兄弟もいません。私から受け継いだ財産は、いずれお前達2人に残すといっています。

 以上が私の最後の言葉です。くれぐれも春子を悲しませるようなことだけはしないでください。お願いします。

平成〇〇年〇月〇〇日

東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇〇番地

                                 遺言者    甲野 太郎 ㊞

 

 

<例6>【特別受益を考慮し、妻と甥へ財産残す記載例】

 

 (付言)

この遺言は、妻○○の生活に不安がないようにすることを第一とし、早く父を失って苦労してきた甥○○にも多少の遺産を分けてやりたいと考えてしたものです。また、長男○○にはこれまでかなりの事業資金を提供しているので、この点を考慮して配分を決めてあります。以上の趣旨を十分理解してこの遺言を尊重し、兄弟3人は、仲良くして、お母さんに孝養を尽くして下さい。                                                        以上 

 

 

<例7>【遺留分と寄与分を配慮した遺言状の例】

 

                           遺言状

 

 

1.(略)

2.遺産のうち、現在居住中の家と土地を含む、4分の3を妻花子の相続分とする。 

3.残りの4分の1については、その2分の1を長男一郎の相続分とする。

4.こうすると、次郎と光子の分が、各自の遺留分を下回ることになるようであるが決してそうではない。

  そもそも私の財産は、無一文の状態から、私と妻花子の2人が協力して、3人の子を抱えながら苦しみを共にして築き上げてきたものであり、その功績の半ばは、妻花子のものである。したがって私の財産は実質的には花子と共有のものであり、2分の1は花子の寄与分である。

 そのことと、花子の老後を考え、かつ長男一郎夫婦が第一順位で花子の面倒を見てくれることになったので、上記のように定めたのである。くれぐれも争いを起こすことがないよう祈って本遺言を作成するものである。

平成〇〇月〇日         山田 太郎 ㊞

TELでお問合せ:

03-5929-8622 

外出している場合があります。下記の携帯電話へお願い致します。

080-7578-9037

原田 が応答致します。

営業時間:

9:00~18:00

【定休日:日曜日・祝日】

お客様ご要により、営業時間外・定休日も「相談室」の他にて営業致します。

行政書士事務所専用TEL:

03-5929-8622 

お急ぎのお客様は、下記の携帯電話へお願い致します。

080-7578-9037

「弊所の事業のご紹介」
   免  責

(1)当サイトは利用者が当サイト内のコンテンツを用いて行う一切の行為(コンテンツの編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負うものではありません。         (2)コンテンツは、予告なく変更、移転、削除等が行われることがあります。