■税法(贈与税、相続税)に関する配慮(検討)事項:以下の4つです。
これらの事項(<特例>や制度)を利用されることにより、「正味の遺産額」が「基礎控除額」を下回ることになる場合には、適用条件につき、積極的に税の専門家(税理士等)にご相談されることをお奨めいたします。
ただし、これらの<特例>や制度の多くは、遺産分割を終え、相続税の申告をすることが条件となっています。したがって、これら適用を「受けるべきか」は「納税対策」「節税対策」の前に、「争族対策」が十二分にとられていることが前提となります。
【相続対策は】 1.「争族対策」 2.「納税対策」 3.「節税対策」が順序です。
(節税対策を優先するあまり、争続問題が発生したのでは、本末転倒です。)
⇒『遺言書』と『付言事項』対策が重要です。⇒ 予防法務の専門家「行政書士」等へご相談ください。
1.税法上「3年以内の暦年贈与」は110万円の基礎控除額以下でも加算されます。
・贈与税の2つの制度(「暦年課税制度」「相続時精算課税制度」)<詳細>につきましては、前ページ末尾の解説をご参照ください。
・「想続税の計算のしくみ」につきましては、「税額計算の方法」※3.をご参照ください。
2.税法上、非課税制度<贈与税の特例>があります。以下 1)~4)です。
1)「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の特例」 (H24年~H26年分)
出典:国税庁ホームページ(「住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし」):
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/pdf/jutaku_leaflet24-26.pdf
※H27年以降は、H31年6月30日まで延期され、非課税限度額が変更になります。
(1)【良質な住宅用家屋の場合】、【良質な住宅用家屋以外の場合】ごと、「契約の締結期間」ごと
(2)A(消費税率10%)、B(消費税率10%以外) の非課税限度額が設定されます。
(下表をご参照ください。)
<注1>東日本大震災の被災者の方が適用を受ける場合には、非課税限度額が別途定められます。
<注2>【建物の建築の場合の消費税率10%税率UPに伴う経過措置】
平成29年4月1日以降に引き渡したものは原則として消費税率は10%であるが、平成28年9月末までに契約し、 平成29年4月以降に引き渡しになる場合は消費税率は8%となります。
このため、契約時期、引き渡し時期により、非課税枠の限度額が大きく異なってきます。
(上表を参照の上、十分注意してください。)
※詳細は、贈与税・相続税を専門とする税理士等にご相談することをお奨め致します。
2)「教育資金一括贈与の非課税制度」 (平成24年4月1日~H27年12月31日)
30歳未満の子や孫への教育資金贈与が、1500万円まで非課税となります。
専用口座を開設する等 一定の要件、手続が必要です。
※平成31年3月31日まで延長になります。
3)「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設」(NEW!)
結婚・子育て資金の支払いに充てるために直系尊属が金銭等を金融機関に信託した場合に受贈者1人につき1,000万円(結婚費用は300万円)を非課税とする制度が創設されます。
(1)受贈者の条件:20歳以上50歳未満
(2)適用時期:平成27年4月1日~平成31年3月31日
(3)結婚・子育ての内容:
・結婚に際して支出する婚礼費用、住居費用、引っ越し費用で一定のもの
・妊娠、出産に要する費用、子供の医療費、保育料のうち一定のもの
(4)信託資金管理契約の終了時期:
・受贈者が50歳に達したとき
・受贈者が死亡したとき
・信託財産の価額がゼロとなった場合において終了の合意があったとき
(5)修了時の残額の扱い:
上記(4)の事実があった日に残額に相当する金額の贈与があったものとして贈与税を計算する
(6)贈与者の死亡の日における残額(支出精算後)に相当する金額を受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、贈与者の相続税の課税価格に加算する。ただし、この残額に対応する相続税額については2割加算の適用はない。
※「2割加算」とは、孫を養子にし「相続税」対策が行われますが、その場合の相続税は2割加算されるというものです。(→本<特例>には適用されません。)
※詳しくは、下記の国税庁のホームページをご参照ください。
4)「贈与税の配偶者控除」
婚姻期間が20年以上であること。贈与する財産は、配偶者自身が居住するか、居住のための土地・建物を購入する資金に限られます。また、贈与翌年の3月15日までそこに住み、その後も住み続ける見込みであることが条件となります。もちろん申告が必要です。
※なお、これは、限度額2,000万円以内であり、その年の暦年課税の基礎控除110万円と合わせ、2,110万円まで非課税となり、3年以内でも相続財産に含める必要はありません。
・その他「未成年者控除」「障害者控除」「贈与税額控除」「相次相続控除」「外国税額控除」「相続時精算課税分の贈与税額控除」があり、これらは相続財産が未分割でも適用されます。
3.民法の基本原理に基づく「特別な税額軽減の制度」。
・「配偶者の税額軽減」:
配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次のうち、どちらか多い金額までは
配偶者には相続税はかかりません。ただし、もちろん「申告書」を提出した場合に限ります。
(1) 1億6,000万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
(※したがいまして、遺産総額が4億円で、相続人が配偶者だけの場合、4億円までは相続税がかかりません。
相続人が配偶者と子どもの場合は、2億円まで相続税がかかりません。)
4.2015年(平成27年)から「贈与税」「相続税」の改正がなされています。
贈与税率を緩和(贈与を促進)し、相続税を増税し(基礎控除額を下げ)ます。
以下国税庁のホームページに<概要>がありますので、以下(クリックして)ご参照ください。
・出典:国税庁ホームページ【相続税のしくみ<改正1~改正4の内容>】http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/aramashi/pdf/02.pdf
・出典:国税庁ホームページ【贈与税のしくみ<改正1~改正2の内容>】https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/aramashi/pdf/03.pdf